【社会】高校無償化、私立も対象にすべき?「学ぶ権利は等しく」専門家の意見
【社会】高校無償化、私立も対象にすべき?「学ぶ権利は等しく」専門家の意見
裕福な世帯の子が進学するイメージのある私立の無償化には反対意見もあるが、無償化の必要性を訴えてきた日本大の末冨芳(すえとみ・かおり)教授(教育財政学)は「私立の実態を捉えていない」と指摘する。
その真意を聞いた。【聞き手・斎藤文太郎】
高校無償化は経済的な事情で希望通りに進学できない子どもに道を開く可能性がある一方で、逆に格差を助長したり、公立の定員割れを招くなどの懸念もあります。
どのように制度設計するのが望ましいのか、有識者に聞きました。後日、慶応大教授の赤林英夫さん、全国高校PTA連合会前会長の山田博章さんのインタビューも掲載する予定です。
学ぶ権利は等しく無償であるべき
――高校授業料を無償化する意義は。
◆高校進学率はすでに99%に達しており、「準」義務教育になっていると言える。高校を卒業していなければ、ハローワークでも正規社員の求人票が出てこない、という実態がある。
高卒の資格は社会に出るための最低限のパスポートとしての意義が極めて大きい。だからこそ、すべての若者に高校での教育が保証されなければならず、家計の状況にかかわらず授業料を無償化すべきだと主張してきた。
――私立を含めた所得制限の撤廃には反対意見もある。
◆私立はエリート校ばかりで裕福な子が行くところ、と言われがちだが実態は異なる。
公立を受験し、残念ながら落ちてしまった子が滑り止めとして入学する私立もある。経済的な困難を抱えた生徒を受け入れ、卒業させ社会に送り出そうという私立もある。
その実態に照らせば、国公私立を問わず、高校で学ぶ権利…(以下有料版で, 残り2272文字)
毎日新聞 2025/2/20 06:00(最終更新 2/20 06:00)
https://mainichi.jp/articles/20250219/k00/00m/040/022000c