【社会】ネットの性的広告「国も対策に乗り出す姿勢を示して」 市民団体が子ども家庭庁に要望
【社会】ネットの性的広告「国も対策に乗り出す姿勢を示して」 市民団体が子ども家庭庁に要望
インターネット上でまん延する「性的な広告」の表示制限をうったえて、オンライン署名活動を展開している市民団体が6月4日、こども家庭庁に対策強化を求める要望書を提出した。
省庁を横断した取り組みや、ネット広告の調査を求める内容で、提出に先立って都内で会見を開いた代表の香川きょうさん(仮名)は「(自主規制が)進んできたとは感じるが、さらに進めるためにも、国が対策に乗り出す姿勢を示すことが必要」と話した。
⚫︎オンライン署名は10万人以上集まっている
要望書を提出したのは「性的なネット広告のゾーニングを目指す会」。
子どもの閲覧するサイトに性的広告、いわゆる「エロ広告」が表示されないようにする「ゾーニング」を求めて、2024年9月23日からオンラインで署名活動を展開しており、ことし6月2日時点で10万人以上の賛同を得ている。
署名活動の発起人で、同会代表の香川さんには小学生以下の子どもが3人いる。
活動を始めたきっかけは、子どもがゲームの情報を調べるために見ていたインターネットのサイトに性的な広告が表示されていたためだ。
「まさか子どもが見るようなサイトに表示されるとは思わなかった。こんなものを今まで見ていたのかと感じた」(香川さん)
⚫︎業界の自主規制、進んでいるけどまだ足りない
読売新聞やNHKなどによると、電子コミック配信大手でつくる「日本電子書店連合」が、ことし4月末から、性的な表現が描かれたコミック広告について、全年齢向けサイトへの配信を停止したという。
このほか、大手ゲーム攻略サイト「ゲームエイト」も、広告を非表示にできる有料プランを導入するなど、「自主規制」の動きが見え始めている。
このような動きについて、香川さんは「一消費者としてありがたく感じている」と評価する一方、「全体として、テレビや新聞、公共交通機関のようなレベルでゾーニングが実現しているとは言えない」と苦言を呈した。
⚫︎機運を高めるために国が問題の認識を
広告規制については、常に「表現の自由」との兼ね合いがついてまわる。それだけに法規制のハードルは高く、業界による自主規制が不可欠だと香川さんは考える。
「(日本電子書店)連合の取り組みも、連合に加盟していない広告は表示されてしまう。法規制に頼ることなく、自主規制のレベルを引き上げるためにも国が改善に取り組むという姿勢を示すことが必要」(香川さん)
要望書では、ネット上の性的広告が問題だと国が認識するために、海外との規制の比較やネット広告の仕組みを調査し、公表することを求めた。さらに、改善に向けては、提出先のこども家庭庁だけでなく、省庁を横断した取り組みが必要と指摘した。
香川さんは「(国の)ワーキンググループでの話し合いは興味のある人しか届かない。まずは問題であるということを一般の人にもわかるレベルで示してほしい」と強調した。
