【国際】「政権が検閲している」研究者の悲嘆 現場では“トランプ対策”も
【国際】「政権が検閲している」研究者の悲嘆 現場では“トランプ対策”も
「政権が研究を検閲している」
トランプ大統領が敵視するのは気候変動対策にとどまらない。
「米国の科学事業への損害が回復するには数十年を要する可能性がある」
全米科学・工学・医学アカデミーの会員有志は3月末に公開書簡を発表し、トランプ政権による連邦政府職員の大量解雇や公的研究費の打ち切りを「科学への全面的な攻撃」と呼んで批判した。
署名した約1900人は各分野で顕著な業績が評価された研究者たちで、ノーベル賞受賞者も含まれる。書簡では、政権が好まない研究を「検閲」して科学の独立性を「破壊」しているとも指摘した。どういうことか。
英科学誌ネイチャーの分析によれば、医学系で最大の公的助成機関である米国立衛生研究所(NIH)は、4月上旬までに800件弱の資金提供を打ち切った。HIV(エイズウイルス)▽トランスジェンダーの健康▽新型コロナウイルス▽気候変動――が絡む研究だけで全体の7割超を占めていた。政権の意向が強く示唆される結果だ。
トランプ氏は就任後に署名した大統領令で、性別は生物学的な男女しか認めないとして、トランスジェンダーの人たちの人権を大きく後退させた。新型コロナについては、ワクチン接種を義務づける学校に連邦政府の補助金を停止する方針を決めた。NIHを傘下に置く厚生省のロバート・ケネディ・ジュニア長官は長きにわたる反ワクチン活動で知られ、就任後は公衆衛生を担う厚生省全体で2万人の職員削減を掲げる。
研究現場で「対策」始まる
自然科学系の研究者にとって、外部資金の獲得はキャリアを左右する「命綱」だ。研究室の主宰者は、外部資金を元に人件費を含めた組織運営を担う。不安が覆う現場では、学術論文や公的な助成金の申請書から政権が好…(以下有料版で, 残り1615文字)
毎日新聞 2025/4/25 16:01(最終更新 4/25 19:44)
https://mainichi.jp/articles/20250425/k00/00m/030/076000c