【国際】現金主義が裏目に出ている?ドイツで多発するATM襲撃事件

【国際】現金主義が裏目に出ている?ドイツで多発するATM襲撃事件

近年、ドイツで増加しているATM襲撃事件が現金主義のリスクを浮き彫りにしています。

 ドイツでは現在、銀行のATMを狙った凶悪犯罪が多発しているという。その手口はどんどん過激なものになってきて、爆発物を使った事件が多数発生しているという。

 なぜ今、ドイツでATMが狙われているのだろうか。他の国といったい何が違うのだろうか。

 どうやら国境を越えた犯罪組織が暗躍しているようなのだが、現金での取引がまだまだ多い我が国でも、対岸の火事では済まなくなるかもしれない。

関連記事:ニューヨークのATMの利用手数料がなんと2200円!

ドイツで多発するATM爆破襲撃事件

関連記事:荒業にもほどがある。ショベルカーでATMを根こそぎひっぺがした犯行の現場映像はこちらです

 2023年3月23日ドイツのクロンベルク市にあるアパートの住民は、数度にわたって鳴り響く爆発音で目を覚ますこととなった。複数の犯罪者が、アパートの建物の下にあるATMを爆破した音だった。

 この爆発で建物の多くが被害を受け、住民は避難することに。報道によると、黒っぽい服を着た数人が現場から逃げるところが目撃されていたという。

 この事件でATMからは現金13万ユーロ(約2,000万円)が盗まれ、建物とATMシステムへの被害総額は50ユーロ(約7,900万円)に上った。

 かつての銀行強盗や知能犯的な窃盗とは異なり、ここ数年増えているのは、この事件に見られるように過激で暴力的な犯罪だ。

関連記事:海外のATMでお金を降ろす時の心得。鉄壁の防御で飼い主を守るATM番犬たちのいる風景

 ドイツでは1日に1軒の割合で、ATMの爆発が起きているとの報告もある。1回の襲撃で、犯罪者は数十万ユーロを手に入れられると言われている。

 手っ取り早く大金を手に入れるために、犯罪者たちは手段を選ばなくなっているようだ。

「現金社会」が犯罪者を呼び寄せている?

 では、なぜドイツでATMを狙った攻撃が多発しているのだろうか。その理由の一つとして、ドイツは未だに現金社会で、ATMがそこら中にあることが挙げられている。

関連記事:ATMをトラックで牽引し、丸ごと盗もうとした窃盗犯グループ。あまりにも仕事が雑すぎた(アメリカ)

 ドイツ国内には現在約51,000台のATMが設置されているそうで、これは隣国オランダの約5,000に比べ、10倍以上という数字である。

 新型コロナウイルスによるパンデミックで、世界中でキャッシュレス・タッチレス化が進んだものの、ドイツはその状況に取り残された。

 2023年には、ドイツ国内での全取引の半分が、依然として現金で行われているという。

デジタル化もパンデミックも、ドイツから現金を駆逐することはできませんでした。支払いに関しては、現金は依然としてドイツで圧倒的に支持されている手段なのです

 ドイツ連邦銀行のヨハネス・ベーアマン氏は、2022年の段階でこのように語っていた。

関連記事:おそロシアとしか言えない。ロシア式ATMからお金を奪う方法、「プロパンガス爆破」

ヨーロッパ諸国が協力してATM襲撃対策に乗り出す

 ATM爆破が深刻なのは、金銭の問題だけでなく、近くにいる人への人的被害を引き起こす可能性が大きいからだ。

 ヨーロッパ諸国は特にこの手の犯罪を警戒しており、国境を越えて暗躍する、高度に組織化された犯罪集団の解体を目的に、各国が協力して撲滅作戦を実施している。

 2024年の初めには、ドイツフランスオランダで活動していた犯罪組織のメンバー3名が拘束された。彼らはドイツでのATM爆破事件にも関与していたとみなされている。

 ユーロポール(欧州警察機関)が明らかにしたところでは、爆破装置には主に花火に使われる固体爆薬が流用されているらしい。

 強力な爆薬はATMを破壊するだけでなく、建物の崩壊やガラスの破片の落下により、多くの住民にも危険を及ぼす恐れがある。現にドイツでは死者も出ており、早急な対策が求められている。

 ドイツだけでも、2023年にはATM襲撃の巻き添え被害だけで、2,840万ユーロ(約45億円)に達したとの報告もあるそうだ。

 ユーロポールでは、これらの犯罪者たちはフランスオランダに潜伏しており、レンタカードイツに「出張」して襲撃事件を繰り返していると考えている。

ドイツの銀行も犯罪防止に巨額の資金を投入

 ドイツの主要な銀行が作る「ドイツ銀行業界委員会」の広報担当者は、この事態について次のように語っている。

ドイツはヨーロッパで最も広範なATMネットワークの1つを維持しています。このネットワークはドイツにおけるATMの密度と、現金へのアクセス需要を有利な要素と見なしており、それが海外の組織犯罪グループを引き寄せる一因となっているのです

ドイツの主な銀行は3億ユーロ(約475億円)を投入して、警報や施錠システム、インク噴射装置(強奪された現金にインクを吹きかけて使えなくする装置)などの開発・設置を進めてきた。

 さらにATM襲撃犯に対する刑罰もより厳罰化され、最低でも2年の懲役が科せられることになった。

こうした取り組みと警察との連携強化で、ATMへの襲撃は減少しています。連邦刑事警察局(BKA)は、既に2024年の数字が昨年を大幅に下回っていると報告しています

 日本もまだまだ現金が幅を利かせている社会なので、そのうちにこういったATM襲撃事件が起こるようになるかもしれない。銀行側も今のうちに対策を…といっても、爆弾を持って来る犯罪者に対して何をどう対策したらいいんだろうか。 

ATM heists on the rise in Germany | Focus on Europe

References: ATM blast crime continues to sweep across Germany[https://euroweeklynews.com/2024/10/28/atm-blast-crimecontinues-to-sweepacross-germany/]

画像・動画、SNSが見られない場合はこちら

(出典 news.nicovideo.jp)

続きを読む

続きを見る(外部サイト)