【社会】年金月6万円「食べ物が買えない」と瘦せ細る〈77歳の独居女性〉。6畳のボロアパートで寝込んでも「生活保護を断固拒否」するあまりに哀しい過去

【社会】年金月6万円「食べ物が買えない」と瘦せ細る〈77歳の独居女性〉。6畳のボロアパートで寝込んでも「生活保護を断固拒否」するあまりに哀しい過去

年金月6万円で生活する77歳の独居女性の苦しい現状を知り、心が痛みました。食べ物すら買えないという状況がどれほど過酷なものであるか、私たちはもっと理解する必要があります。このような状況に置かれている高齢者に対して、社会としてどのような支援ができるのかを改めて考えさせられる内容でした。

お金がなく生活に困窮した際にセーフティーネットになるのが生活保護。国民であれば誰もが受ける権利がありますが、考え方はさまざま。頑として生活保護を受けることにネガティブな人たちも。その背景にあるのは?

クリーニング店で働いていた77歳女性、体を壊し「年金だけの生活」へ

厚生労働省『被保護者調査』によると、最新の2024年9月、生活保護を受けている人は200万7,830人、世帯でみると165万0,802世帯でした。ここ数年の変化では、人数は200万~202万人、世帯数では164万~165万世帯で横ばいで推移しています。

生活保護は細かく8つに分類されますが、日常生活費にあたる生活扶助を受けている人は171万5,359人。家賃にあたる住宅扶助を受けて居る人は170万9,544人、教育費にあたる教育扶助は8万0,058人、介護費にあたる介護扶助は43万9,503人、医療扶助は170万0,390人でした。

生活保護を受けている世帯で圧倒的に多いのが高齢者世帯で90万5,590世帯。半数以上を高齢者が占めています。ほか障害者世帯が22万6,320世帯、傷病者世帯が18万6,257世帯、母子世帯が6万2,439世帯でした。

生活保護を受ける高齢者が多いのは、収入が年金に限られるから。厚生労働省令和6年国民生活基礎調査』によると、公的年金を受けている高齢者世帯のうち、所得の100%が年金だという世帯は41.7%。8割以上が年金という世帯を合わせると6割弱となります。基礎年金だけだと、令和6年度月6万8,000円。預貯金も心許ない程度、という場合、年金だけが頼り。しかし月7万円弱というと、かなりの厳しさであることはいうまでもありません。

ただ生活保護に対する考え方はさまざま。生活保護は、生活に困窮している人に対して、生活保護法により憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障するものであり、生活保護の申請は国民の権利。それでも、その権利を行使しない人たちがいます。

佐々木美津子さん(仮名・77歳)。年金は月6万円ほどで、ほかに収入はありません。1年ほど前までクリーニング工場で働いていましたが、体を壊し、働くことが困難に。以来、年金だけが頼りに生活を送っています。

行き過ぎた水際作戦で、77歳独居女性「生活保護」に拒否感

仕事を辞めてから、年金だけで何とかやりくりしてきましたが、物価高がじわりじわりと佐々木さんを苦しめます。特に、昨今のお米の値上げは厳しいといいます。

――米さえあればと思っていましたが……最近は食べ物もろくに買うことができません

総務省統計局『小売物価統計調査』によると、2024年10月、米5キロは全国平均3,473円。9月から14%以上の値上げとなりました。12月3日に米の生産者、集荷団体、卸売業者等が参加して行われた「米産業活性化のための意見交換」では、卸売業者から「米が確保できない」「さらに価格は上がる」という声が聞かれました。私たちの食卓は、さらに厳しい状況になること必至です。

佐々木さん、食事もままならないなか体重も減少。夏から5キロほど瘦せてしまったとか。それに伴い、体調を崩すことも多くなり、寝込むことも多くなったといいます。

――この6畳のボロアパートで死んでいくしかないのかね

ここまで困窮していても、佐々木さんは頑として生活保護の申請には後ろ向きです。しかし、話を聞いていくと、仕事を辞めたあと、一度、生活保護を申請しようと考えたことはあるといいます。ところが救いを求めて相談しにいったところ、担当者から不適切な対応をされたとか。

――まずは親族に助けを求めてくださいよ

――いないの⁉ いるでしょ、ひとりぐらい

――働けないというけど、噓なんじゃないの

――高齢者なら簡単に受けられると思ったら迷惑です

――もともと税金なんですよ、生活保護って

「なぜ、相談に行っただけなのに、こんなことをいわれなきゃいけないのか」。以来、生活保護は頑として拒否しているといいます。

とはいえ、佐々木さん、このままでは最悪の事態も考えられます。地域の民生委員の働きかけで、もう1度生活保護を申請しようと考えているといいます。

一部の福祉事務所で「水際作戦」と呼ばれる対応が行われ、申請者に対して不適切な対応がとられることも。厚生労働省は「申請権の侵害は絶対にいけない」とことあるごとに強調し、福祉事務所の職員に対する研修の強化や地域社会との連携強化など、対応がとられています。それでも一部の福祉事務所や、担当者レベルで行き過ぎた水際作戦は続いているようです。

[参考資料]

厚生労働省『被保護者調査』

厚生労働省『令和6年国民生活基礎調査』

総務省統計局『小売物価統計調査』

農林水産省『米産業活性化のための意見交換』

写真はイメージです/PIXTA

(出典 news.nicovideo.jp)

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