【国際】《“報道の役目を果たしてない”の声も》韓国の戒厳令を「緊急特番」で報じなかったテレビ局に批判続出…報道局員が明かす「裏事情」
【国際】《“報道の役目を果たしてない”の声も》韓国の戒厳令を「緊急特番」で報じなかったテレビ局に批判続出…報道局員が明かす「裏事情」
韓国政界がかつてないほど混迷を極めた、“戒厳令”から1週間が過ぎた――。
12月3日午後10時30分ごろ、尹錫悦大統領が緊急の談話を発表し、野党側の対応などを理由に「非常戒厳」を宣言。戒厳令が宣言されるのは1987年の民主化以来初となり、軍の部隊が国会の建物に突入、周辺には抗議する市民が集結するなど緊迫した事態に。
4日未明に国会で解除要求決議案が可決され、同日午前中に尹大統領が解除を発表するなど、「非常戒厳」を巡る騒動自体はひとまずは終結した。
しかし当然、混乱を招いた尹大統領の責任論に発展し、弾劾を求める声が高まることに。最大野党「共に民主党」など野党6党は弾劾を求める議案を国会に提出し、与党からも厳しい声があがっているため可決されるかと思いきや。
7日午後5時過ぎから採決のため本会議が開かれたが、与党のほとんどの議員が投票に参加しなったため不成立となり、尹大統領は職務を継続することが決まったのだ。最大野党は12日にも弾劾議案を再提出する予定で、まだ出口は見えそうにない。
隣国の韓国で起こった前代未聞の大統領によるクーデター騒動は日本でも驚きをもって迎えられたが、発端となった3日夜の宣言時の“テレビ報道の姿勢”を巡って議論が巻き起こっている。
3日午後10時30分ごろから、非常戒厳が宣言されたことが韓国メディアなどを中心に報じられ、X上でも日本から衝撃の声があがった。ただ、日本でもまだ夜のニュース番組が放送されている時間帯ではあったが、緊急特番などで取り上げたテレビ局はNHKを含めてなかった。
隣国の非常事態を緊急特番で取り上げず、“通常運転”を貫いた各局の姿勢に対して、“報道機関の役目を果たしていない”“がっかりした”といった批判的な声が相次いだ。
ただ、各局も“見てみぬふり”をしたということではなく、のっぴきならない裏事情があるようだ。ある民放キー局の報道局に勤める局員は言う。
「昔と違ってそもそも今は、各局で夜すぐに特番を組むかどうかのジャッジができるだけの人がいないのです。国際部はそれぞれ現地で動いていましが、それを中継して朝まで引っ張るというだけの体制が整っていません。朝から各局ニュース番組はありますが、報道的には夕方がメインで、夜になればなるほど弱いネタや繰り返しの番組内容になる訳です。
なので、今回の戒厳令も現場では取材は動いているんですが、朝のニュースまで動かないというのがどの局も通例になってきているのだと思います。夜中の素材を朝からまとめて報じるのが今の体制で、そもそもの報道のあり方として限界にきているのかもしれませんが……」