【社会】中国でも愛子さまと雅子さまは大人気…「日本の皇室」が世界中から尊敬される本当の理由

【社会】中国でも愛子さまと雅子さまは大人気…「日本の皇室」が世界中から尊敬される本当の理由

日本の皇室の魅力は、愛子さまと雅子さまの存在によってさらに際立っています。彼女たちは、皇室が持つ伝統を守りながらも、新しい時代に即したアプローチを取り入れています。この姿勢は、中国や他の国々においても高く評価され、日本文化の理解を深める手助けとなっていると感じます。

日本の皇室は世界でどう評価されているのか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「中世以前からの伝統を現在も維持している王室は世界的に見て非常に珍しい。だからこそ、中国やアメリカ、アフリカだけでなく、王室のある中東やヨーロッパの国々からも特別な存在だと思われている」という――。

※本稿は、谷本真由美『世界のニュースを日本人は何も知らない6』(ワニブックス【PLUS】新書)の一部を再編集したものです。

■日本人より詳しい? 中国人の「皇室愛」

2024年に天皇皇后両陛下が国賓としてイギリスを訪問されました。これはチャールズ国王が戴冠後、国賓としての初訪問になります。

私は天皇皇后両陛下がバッキンガム宮殿での晩餐会に出席する日に、パレードを見に行きました。

イギリス政府による宣伝が功を奏したのか、当日はバッキンガム宮殿前の「ザ・マル」はすごい人出で、世界各国の観光客や皇室と王室ファンが集っていました。

通常イギリス王室のイベントを見に来る外国人観光客は欧州大陸の人が多いのですが、今回は中国やタイなどアジア系の方も多く、熱心に写真を撮影していました。

日本でのイメージと違い、中国やタイの方々は日本の皇室が大好きです。とくに中国大陸での人気はすごく、中国のニュースサイトやゴシップ雑誌には皇室ネタが頻繁に掲載され、雅子様のご病状や愛子様の勉学のことなどが事細かに報じられています。

それだけではなく、メディアにあまり登場されない皇室のみなさんのことまでご存じのファンが多いのです。その好奇心や情報量に驚かされる日本人は多いでしょう。

■皇室のファッションや上品さに羨望のまなざし

中国大陸の方々、とくに女性は日本の皇室のファッションやライフスタイルにも興味津々です。自国に王室がないため、伝統と現代が共存している日本の皇室に興味を持つ方は、やはり多いのです。皇室の上品さや自国には存在しない伝統行事などには、羨望の眼差しが注がれています。

日本の方は「中国人の誰もが反日的な感情を持っている」と思われているかもしれませんが、そういう人々は実はごく一部。一般の人々は、どちらかというと皇室を含め「日本に興味津々な人」だらけです。

■「生の天皇皇后両陛下」に感激する人々

またアメリカやアフリカの方、中東や南アジアの方もおり、きわめて多国籍でした。

アメリカ人はイギリスの王室が大好きですが、日本の皇室にも大変興味を持っています。やはり自国にはない伝統文化があるので、とても惹かれるものがあるのです。意外に思われるかもしれませんが、中東の方々も日本の皇室や神道に興味があります。

これは中東の方々が自国の王族や宗教を大事に思っているので、他国の類似の存在にも興味を持ってくださっている、ということでしょう。

中東や北アフリカの方々は日本に来ると神社や仏閣を熱心に見学される方も多いのです。知的なイスラム教徒の方々は大変心が広く、神道や仏教にむしろオープンなことも多いです。

私は近くにいたイタリア人の60代のおじ様とその娘さん、息子さんにイタリア語で話しかけ雑談をしたのですが、とくにお父様の皇室に対する興味は大変なものでした。

天皇陛下のお名前から上皇様、昭和天皇のお名前や「どこに住んでいるか」「雅子様はどんな人か」「京都に旅行したいかどうか」「温泉に行きたいのだが」といった日本旅行の話にまで話題が広がり、パレードを見るよりもおしゃべりのほうが多忙になってしまいました。しかしこのご一家に限らず周りの人々も「天皇皇后両陛下にお目にかかれたこと」に感激していた様子でした。

■「王室が現存している国」は実は少ない

なぜそうなるのかというと、そもそも世界には「王室が現存している国」なんて限られているからです。欧州大陸の場合は革命や社会の変化によりなくなってしまった国が多いですし、そもそも元植民地だったアメリカやカナダには王室がありません。

アジアや南アジアの場合はやはり政変などで王朝が崩壊してしまっています。南米もアフリカ植民地だらけですから王室がありません。

つまり数百年~千年近い単位で王室が継続されている国は本当に珍しいのです。

西洋列強の植民地にならなかった国は、ある意味特殊なのだとわかりますね。

■ほかの国では失われた伝統が残っている

そして日本の皇室は、欧州や中東の王族とはそのあり方がまったく異なります。

衣装や伝統が西洋社会のものとは別物ですし、宗教も言葉もまったく違います。とにかく異なる文明に属しているのです。

ほかの地域の人々から見ると大変エキゾチックで、ミステリアスに映ります。そしてその王朝の人々がイギリスにやってくるというのは、やはり大変なことなのです。

同じ王朝がずっと続いている点からみても、日本の皇室は特別な存在です。王朝は一般に、権力が変われば崩壊するのが当たり前です。政権交代時には関係者は皆殺しになるのが歴史の“定番”です。

ところが日本の場合、南北朝の争いなどはあったものの、朝廷は長い間継続されており、権力闘争とは異なった位置に属してきました。「皇室の本質=司祭」だとはいえ、それでも王朝が崩壊することなく継続している状態は、特異なのです。

日本人は気がついていませんが、皇室が中世以前からの伝統を保存している点も大変重要です。ほかの国では王朝崩壊に伴い、文化財や伝統も消えるのが当たり前です。

■洗練された文化と長い歴史を誇る皇室

また意外に聞こえるかもしれませんが、イギリスでは多くの人が日本の皇室にまつわることに大変な興味を持っています。これは王室が徳川幕府や皇室から贈られた品を展示した際、多くの見学者が訪れた事実からもわかります。

今回の天皇皇后両陛下のイギリスご訪問に関してはかなり前からイギリスのメディアで報じられ、ニュースでも大きく取り上げられていました。広く一般に無料配布される新聞にも、天皇陛下のお写真が掲載されたほどです。

ほかの国の王族もイギリスを公式訪問することはありますが、メディアにここまで取り上げられることは稀です。

やはりこれは日本という国がイギリスに限らず欧州全体から見て「非常に特別である」ことの表れでしょう。先ほども述べたように日本には欧州に劣らぬ洗練された文化があり、皇室の歴史は欧州のどの王室よりも長いのです。

■伝統や権威を重んじる国民性の表れ

こうして王室や皇室を現在でも維持できている事実は、その国の人々が伝統や権威を重んじており、「受け継いだものを維持していこう」と強く意識してきたことの表れです。

そしてまた、暴力的な革命や過激な変化を好まないことも示唆しています。イギリスは無血革命をおこなったことで有名なように、実は過激な革命を嫌う土地です。

資本主義が発達しており、市場経済を信奉する国ですが、そのいっぽうで伝統を維持し穏やかな変化を好みます。イギリスの本質は、実は「保守」です。

その点、過激な革命を好むフランスイタリアとは異なっています。また現実よりも理念を優先してしまうドイツとも違います。

そして日本も遠く離れているとはいえ、イギリスに似た部分があります。たとえば明治維新でも内戦はあったものの、徳川家は全員抹殺されたわけではありません。そして皇室も長年、維持されてきており、ここまで長い王朝が保たれている国は非常に珍しいのです。

■イギリスが特別な皇室外交を続ける理由

これはやはり日本がイギリスと同じ島国で、過激な変化を好まない点が要因だと思います。イギリスはそのような日本の歴史に自分たちと似たものを感じているのです。

イギリスは多様性を重んじる国ですが「あまりに異質な人」はやはり嫌います。「能ある鷹は爪を隠す」というような謙虚さや、中庸や灰色の対応、「行間が読める人」を好みます。

日本人はそのようなイギリス人の求める資質を持っています。そして伝統や権威をある程度好み、儀式的なものも残そうとします。合理的でありつつ非合理な部分も保とうとする。イギリス人はそんな日本を自分たちと似た部分のある国だととらえています。

だから日本の皇室を特別扱いするのです。そんなイギリスが皇室外交を通して日本との友好関係を強化しようとするのはやはり東アジアの安定化を望むからです。

そして東アジアでは「唯一信用できる同盟国」として日本に期待する部分が大きいのです。皇室を歓待することは「日本の有権者にイギリスにとって良いイメージを持ってもらい、関係を強化したい」という気持ちの表れです。そういったイギリスのメッセージを今回の天皇皇后両陛下のご訪問から読み取っていただきたいと思います。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)
著述家、元国連職員
1975年神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。

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23歳の誕生日を迎え、上皇ご夫妻にあいさつするため、仙洞御所に入られる天皇、皇后両陛下の長女愛子さま=2024年12月1日午前、東京・元赤坂 – 写真=共同通信社

(出典 news.nicovideo.jp)

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