【国際】179人死亡の韓国・務安空港事故、広島空港の同様事故では犠牲者なし―主要紙
【国際】179人死亡の韓国・務安空港事故、広島空港の同様事故では犠牲者なし―主要紙
韓国南西部・全羅南道の務安国際空港で12月29日に179人が死亡した済州航空機事故を巡り、主要各紙は「滑走路先のコンクリート構造物が被害を拡大した」と相次いで報じた。2015年4月には広島空港でアシアナ航空機が同様の事故を起こし乗客・乗員が負傷したものの、犠牲者は出なかった。
今回の事故を受け、韓国政府は1月4日まで「国民服喪期間」に入ると発表。年末・年始の各種イベントなどが中止となった。日本でも年末恒例のレコード大賞で韓国人アーティストは喪章を着けて出演した。
朝鮮日報によると、済州航空機、アシアナ航空機の事故はいずれも事故機が滑走路を離脱し、ローカライザーと衝突した。ローカライザーは着陸誘導施設で務安国際空港では強固なコンクリート構造物上に設置されていた。
広島空港での事故から1カ月後に韓国国土交通部(省に相当)が発表した中間報告によると、アシアナ航空機は着陸の際に滑走路を外れ、照明灯とローカライザーに相次いで衝突した。広島空港はアンテナ型の構造物が地面に直接設置されていたため、アシアナ航空機はこれを破壊したが、機体はそのまま通過できた。
当時、国土交通部が公開した写真には、アシアナ航空機の胴体部分と翼が高さ6.2メートルのローカライザーを突き破った様子がはっきりと見て取れるため、このローカライザーは非常に壊れ安い構造だったことが分かる。
広島空港の事故ではエンジンとランディング・ギア(着陸装置)が一部破損したが、爆発などは起こらず、アシアナ航空機はローカライザーに衝突した後に反時計回りに180度回転して芝生の上に停まった。
元英空軍パイロットのデイビッド・リアマウント氏は英スカイニュースとのインタビューで「務安国際空港では滑走路からわずか200メートルの場所にあんな構造物があるとは信じられないほどひどい。犯罪行為に近い」と指摘した。
リアマウント氏は「パイロットは当時の状況で可能な限り最善の着陸を行ったので、(済州航空機が滑走路で)そのまま滑っていれば、多くの人が助かっただろう」「滑走路先端にあんな構造物があるなどこれまで見たことがない」とも述べた。
複数の韓国紙は「コンクリート構造物がなければ事故が小さかったかもしれない」とする航空専門家の意見を紹介。これに対し、国土交通部の幹部は航空機が滑走路を飛び出す事態を想定して設けられる緩衝区域の外に土手(コンクリート構造物)が置かれていると強調。「滑走路から最低90メートルを緩衝区域とするのが国際基準だ」と説明し、務安国際空港の土手に問題はないとの認識を示した。同様の土手は米国やスペイン、南アフリカの一部空港にもあるという。(編集/日向)