【社会】インフレで何倍にも… 新車価格の急上昇を過去記事から読み解く 歴史アーカイブ

【社会】インフレで何倍にも… 新車価格の急上昇を過去記事から読み解く 歴史アーカイブ

過去のデータをもとに現状を分析し、新車購入を考える際の心構えや選択肢についても触れています。インフレの波を乗り越えるための知識を得ることが重要です。

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昔のクルマは本当に「安かった」のか

インフレはもはや誰もが口にする話題となったが、特に新車価格に関しては、最近、過去15年間で129%上昇したと聞く。なんとも驚くべきことだ。

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AUTOCARの過去の記事を掘り起こしてみると、クルマのデザインや性能だけでなく、価格の変遷についても興味深い発見があった。

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ジョウェット・ジュピター

第二次世界大戦以降、AUTOCAR英国編集部が毎週実施しているロードテスト(クルマの実地試験)で取り上げたクルマの平均価格を割り出すと、1980年代まではほぼ横ばいだったが、その後急上昇し、以来その傾向が続いていることがわかる。

1950年の平均的なロードテスト対象車の価格は1016ポンドだった。今日では途方もなく少ない金額に思える。

当時の生活を思い出せないと、その金額が実際どれほどの価値があったのかはわからない。そこで、その1016ポンドを過去のインフレ率に合わせて、現代のお金に換算してみよう。

イングランド銀行の計算機によると、2万8781ポンド(約555万円)になる。2022年のロードテスト対象車が平均7万54ポンド(約1360万円)だったことを考えると、驚くほど安い。

別の言い方をすると、1950年のジョウェット・ジュピターというオープンカーは、今日におけるマツダMX-5(日本名:ロードスター)とほぼ同じ価格だった。これは妥当な金額のように思えるかもしれない。

しかし、1950年代に英国に住んでいた人なら誰でも、ジュピターは簡単に手の届くクルマではなかったと口を揃えて言うだろう。

筆者の祖母は、子供の頃、遠くから聞こえるエンジンの音だけで義父が仕事から帰ってきたことがわかったと言う。なぜなら、当時住んでいたロンドン南部の通りには、クルマは義父のオースチンA90しかなかったからだ。

1950年にAUTOCARがテストした中で最も安いのはモーリス・マイナー・ツアラーで、現在の貨幣価値に換算すると1万1080ポンド(約215万円)となる。これは現在の英国最安価モデルであるダチア・サンデロよりも2715ポンド安い(約50万円)価格だ。祖母の隣人は、それすらも所有していなかった。

一体どういうことか? これまでこの記事で価格調整に使用してきた方法は、イングランド銀行の最新消費者物価指数と古い小売物価指数(生活費の指標)のデータを組み合わせたものに基づいている。

しかし、数十年にわたる英国経済の成長により、人々の実質所得は増加している。つまり、商品価格が継続的に上昇しているにもかかわらず、人々はより多くのお金を使うことができるようになったということだ。

1950年には人々の消費が単純に少なかった。オースチンA90は、今の価値観で考えるよりもはるかに大きな投資だっただろう。

『Measuring Worth』は、このことを例示するためにインフレ計算機を作成した、興味深い学術プロジェクトである。

その指標の1つに労働価値がある。これは、労働者がクルマなどの商品を買うために必要な平均賃金の倍数として算出される。

これによると、オースチンA90は12万2600ポンド(約2370万円)、つまり現在のメルセデス・ベンツSクラスと同じくらいの価値があったことになる。モーリス・マイナーは4万3200ポンド(約840万円)で、BMW 4シリーズと同等である。

戦後の経済復興期である1950年代には、ここで用いた2つのインフレ指標の差が急速に縮まり、1980年代1990年代には大幅に縮小し、2000年代半ばには収束している。これは、英国経済と生活水準の上昇が停滞期に入ったことを表している。

これらすべてに関連して興味深いのは、クルマと並ぶもう1つの大きな投資対象である「家」との比較だ。

英国の住宅金融組合Nationwideのデータによると、平均住宅価格は、1970年まではAUTOCARのロードテスト対象車の平均価格とほぼ同じペースで推移していたが、その後ゆるやかに上昇し始め、1980年代半ばには低水準から3倍に上昇した。1990年代後半以降はさらに急上昇し、高水準から4倍へ。その間、賃金は伸び悩んでいる。

つまり、英国でいい家といいクルマを手に入れるのに最適な時期は1970年代後半だったということだ。その時期に両方を手に入れることができた人は、幸運だった。おめでとう。

■解説の記事
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(出典 news.nicovideo.jp)

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