【国際】中国で「AI公務員」が登場、称賛の一方で不安も―香港メディア
【国際】中国で「AI公務員」が登場、称賛の一方で不安も―香港メディア
2025年2月26日、中国・環球時報は、中国で「AI公務員」が登場したことについて、賛成の声とともに反対や焦りの声も聞かれるとする香港メディアの報道を紹介する記事を掲載した。
記事は、香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストの24日付文章を引用。記事によると同紙は、中国のスタートアップ企業DeepSeekの人工知能(AI)モデルが世界的な注目を集めたのに伴い、中国各地の政府が日常業務においてAI技術の活用を加速させているとした。
そして、最も早く「AI公務員」を採用した広東省深圳市福田区について取り上げ、DeepSeek-R1を基盤に開発された大規模AIモデルによる「AI公務員」70人が公文処理、住民サービス、投資誘致など11の主要な行政サービスの作業を担当していると紹介。従来5日かかっていた政府通知文書の作成が数分に短縮され、公文書の正確度が95%に達してチェックの所要時間が90%短縮されたほか、公共サービスのリクエスト対応速度向上、投資プロジェクトにおける企業分析プロセスの効率化、部門横断的な業務の効率化も実現したと伝えている。
また、同市以外にも同省広州市や内モンゴル自治区フフホト市、江西省贛州市、江蘇省無錫市などでもAI技術を政府サービスプラットフォームや内部業務システムに導入しているとした。
その上で、福田区の取り組みが広く報じられると、ネット上では「行政の作業効率を高める素晴らしい方法だ」といった称賛の声が寄せられた一方で、実際に「AI公務員」と一緒に仕事をする現場の公務員からは、AIの有能さを認めつつも「上司に『AIの同僚』を超える創造的な仕事を見つけるよう言われました」といった複雑な心境を反映したコメントも出ていることを紹介。さまざまな見方による議論が繰り広げられていることを伝えた。
同紙は、「AI職員」をめぐるネット上の議論を受け、福田区政務サービス・データ管理局の高増(ガオ・ゾン)副局長が「AIはあくまで人間の意思決定を支援するツールであり、生身の公務員に取って代わるものではない」と強調したと伝える一方で、来年の就職活動を控えたある大学生が「公務員試験の競争はすでに激しいのに、AIの出現で今後さらに採用枠が減るのではないかと心配」と語るなど、「AI公務員」の出現による懸念を拭いきれない人が確かに存在することを紹介した。(編集・翻訳/川尻)
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