【社会】《“パワハラ認定”も》亡くなった元局長に「わいせつ」発言、告発者潰しと同時に論点ずらし…衝撃会見で見えた斎藤知事の本性

【社会】《“パワハラ認定”も》亡くなった元局長に「わいせつ」発言、告発者潰しと同時に論点ずらし…衝撃会見で見えた斎藤知事の本性

この会見の内容は、権力者による告発者への圧迫がどれほど深刻なものかを浮き彫りにしました。パワハラの問題は単なる職場内の問題ではなく、社会全体の倫理に関わる重大なテーマです。今こそ、この問題を真剣に受け止め、現状を変えるための行動が求められています。

 今まで他人事のような振る舞いをしていた人が遂に本性をあらわした。そんな衝撃会見だった。百条委員会の調査報告書を受けての斎藤元彦兵庫県知事である。

うそ八百ではなかった

 約1年前、パワハラなどの疑惑を内部告発された斎藤知事は告発を「うそ八百」だと主張し、公益通報制度に基づく措置を取らなかった。それだけでなく、いち早く告発者を特定して懲戒処分にした。

 かなりギョッとするが今回の報告書で「告発者潰し」にあたると判断された。職員への叱責についても「パワハラと言っても過言ではない」と。うそ八百ではなかったのだ。

 しかし斎藤知事は告発文書への対応に問題はないとの姿勢を変えなかった。知事の発言に驚いたのは読売新聞の社説だ。

《これでは、再び同じような事態が起きても、また告発者潰しをやると言っているに等しい。》

 そう、怖いのは“これからの宣言”でもあることだ。声を上げた人間がどうなるか見せているようにも思える。兵庫県の職員にとってこんな恐怖はない。

 斎藤知事の言動については他紙も指摘していた。報告書について知事は「一つの見解」と言った。すると、

《百条委の結論は、多くの見解の一つではない。斎藤氏は「県民の皆さんがどう判断するか」とも語るが、知事自身が聞く耳をもたないと、二元代表制は機能しようもない。》(朝日新聞社説)

《日本の地方自治は首長と議会の二元代表制である。地方自治法に基づき県議会に設置した百条委の判断を斎藤氏は真摯に受け止めなくてはならない。》(産経新聞「主張」)

 告発者潰し&二元代表制を機能させない。凄まじい現状である。

 日経新聞の社説は「違法性の判断は司法の場でされることだ」との知事の認識について、

《違法でなければ問題ないという姿勢は、行政を担う政治家として資質を疑わざるをえない》

 そういえば「違法でなければ問題ない」はこの10年くらい、政界を発信地として社会を覆った象徴的な態度ではなかったか? 今また兵庫で実践されている。

 今回最も衝撃的だったのは次だ。告発者(元県民局長)に関して、

《さらに斎藤知事は、元県民局長をおとしめるような発言も繰り返した。》

 なんと! 具体的には、

《公用パソコン(PC)から見つかった私的文書の内容に初めて踏み込み、「倫理上、極めて不適切なわいせつな文書」とした。》(朝日新聞デジタル)

昨年の週刊文春で最も印象深かった記事

 告発者は「死をもって抗議する」という文言を遺して自殺している。否定や弁解ができない相手に対して斎藤知事は言った。私的文書は、知事の指示を受けた片山安孝・前副知事が「告発者捜し」の過程で回収したPCから見つかったものだった。

 ここでおさらいしよう。私が昨年の週刊文春で最も印象深かった記事は7月25日号にあった。告発したX氏の情報が兵庫県庁で出回っていたという時点で文春は以下のように書いていたのだ。

《中身についてはX氏が決して触れられたくなかったことであり、本稿では言及しない。ただ、X氏の告発を握りつぶすためにこれを利用しようとする行為がどうしようもなく卑劣であることは論を俟たない》

 文春は告発者のプライベートについては報じなかった。公益通報とはまったく別問題だからだ。

 昨年12月19日号でも文春は告発者X氏の“公用PC”の中身を報じなかった「3つの理由」として、

(1)申入書の存在

(2)公用PCの中身がX氏による告発の内容とは無関係だから

(3)公用PCの中身について真実かどうか見極めるのが困難

 と説明している。“あの文春”が報じなかった理由は大事なので何度でも書いておきたい。

 しかし片山前副知事は百条委員会でX氏のパソコンの中身についてわざわざ口にした。プライベートや真偽不明の内容に委員長の奥谷謙一県議が制止した。このやりとりを「隠し録り」した録音データが維新県議だった増山誠氏から立花孝志氏の手元に渡り、立花氏は拡散させた。

 これらの「選挙戦」に対して斎藤知事はずっと他人事だった。百条委員会を務める県議らへの誹謗中傷にも一般論を繰り返すのみ。

 そして今年1月、前県議の竹内英明氏が死亡した。百条委副委員長だった維新の岸口実氏は知事選期間中に立花氏と会い、委員だった竹内県議を「(告発問題の)黒幕」呼ばわりする紙を渡した。中傷された竹内氏は、県議を辞職したあとに死亡。自殺とみられる。

 そのあと立花氏は「竹内氏は逮捕予定だった」などと発信。数日後の記者会見では知事に対して立花氏に発信を「やめるよう言うべきではないか」との記者の質問が相次いだが、斎藤知事は25回以上、「SNSによる心ない誹謗中傷は決して許されない」などと一般論に終始。

告発者潰しと同時に論点ずらしである

 2月1日読売新聞は、SNS上で拡散された「竹内氏は逮捕予定だった」との情報を、1月20日の県議会で「事実無根」と指摘した村井紀之・県警本部長のインタビューを載せた。警察が個別の案件に言及した異例の対応については「(拡散が続けば)社会にとって不利益だと考えた」という。でもこれは本来なら斎藤知事が呼びかけることだ。なぜか静観していた知事。 

 すると今回、遂に本心をあらわした。亡くなった告発者をおとしめるような発言を繰り返した。告発を握りつぶすために「私的文書」を利用しようとする行為は「どうしようもなく卑劣」と文春は昨夏に書いたが、知事自らがその行為を堂々としたことになる。

 これは告発者潰しと同時に論点ずらしであることにも注目したい。やはりマズいという自覚があるからか、興味深いのは百条委員会そのものを否定する言動もあることだ。片山元副知事や増山県議らは「不公正な委員会運営」「百条委員会は中立性、客観性が損なわれている」などとコメントしている。

 しかしその百条委員会で告発者の私的文書をわざわざ取り上げ、真偽不明の内容を流出させようと懸命だったのは誰だったのか。百条委員会を利用できるときはして、結果が意に添わなければ否定するのは幼稚な振舞いだ。

 論調に違いがある新聞各紙が今回は揃って社説で斎藤知事を批判した。日経新聞は「知事は百条委報告に向き合え」とタイトルにし、読売新聞は「告発者を貶め、公益通報制度を蔑ろにする行為が許されないのは当然である」と冒頭に書き、朝日新聞は「改めて問う。斎藤氏は知事の資質を欠いているのではないか」と締めていた。

 でもやっぱり「オールドメディア」が言ってることだから無意味なの?

(プチ鹿島)

斎藤知事 ©時事通信社

(出典 news.nicovideo.jp)

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