【社会】統一教会が生み出した“新霊感商法”のカラクリ《日本人信者から韓国に送金される「献金ノルマ」は…》

【社会】統一教会が生み出した“新霊感商法”のカラクリ《日本人信者から韓国に送金される「献金ノルマ」は…》

統一教会が展開する新霊感商法について、これまで知識としてあったものの、具体的な献金ノルマの実態を知る機会は少なかったと思います。この記事を通じて、信者たちが置かれている厳しい状況を目の当たりにし、宗教がどのように人々の生活に影響を与えるのかを改めて考えさせられました。

 安倍元首相が凶弾に倒れて3年弱。統一教会に解散命令が出た。改革を謳うものの、合同結婚式や献金要求、霊感商法など、その実態は、驚くほど変わっていない。統一教会を取材し続ける記者が教団の今をレポートする。

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700億円超の、豪華な教団施設

 このイベントウィークの最大の祭事は別にある。

4月13日に韓国にある聖地・清平で行われる天苑宮天一聖殿入宮式です。天苑宮は同地に立ち並ぶ教団施設の中でもひときわ豪華な建物で、建設費が490億円。豪華な大理石やステンドグラスを用いた内装に、さらに200億円ほどを要したと言われ、その総額は700億円超とみられる。そこに韓総裁が入宮することで、統一教会の摂理が完成されるという極めて大切な儀式なのです」(同前)

 こちらにも、8000人の日本人信者が参加するよう動員がかけられている。

「解散命令の直後は、入宮式をキャンセルすべきではという意見もあったのですが、韓総裁の指示に基づき、予定通り行うことが決まりました」(韓国の統一教会関係者)

 この天苑宮の建設には、多額の日本人信者の献金が使われて来た。2022年の時点で一家庭当たり183万円の献金ノルマが課せられた。完成の23年時、文鮮明教祖が存命なら103歳。それに韓総裁の年齢80を加えた金額だった。

日本の献金ノルマ

「さらに、今回の入宮式の費用は、日本が大半を負担せよという指示が出ています。ちなみにアメリカ統一教会の場合は、目標額1000万ドル(約15億円)に対し、2月末での達成率が76.5%とのこと。日本の献金ノルマはアメリカの10倍以上ともいわれるので、150億円以上のノルマが課されていてもおかしくありません」(元信者)

 これまでも日本の信者たちは、清平で行われる数々の行事や施設建設に多額の献金を強いられてきた。

「霊界で苦しんでいる祖先を解放するという名目の先祖解怨は、両親の家系をそれぞれ430代前までさかのぼって供養することが求められます。一世代20年としても、縄文時代の祖先。夫婦なら4つの家系について行う必要があり、諸々を合算すると、およそ1500万円が必要になります」(同前)

“中心霊”を取り祓う儀式

 さらなる資金集めのため、教団は“新霊感商法”を生み出した。昨年以降、盛んに行われている「中心霊分立摂理」だ。

「人の体のあちこちに、あらゆる病気と苦難を誘発する中心霊が取り憑いている。これを見つけて、取り祓うという儀式です。誰でも最低13種類の中心霊に取り憑かれていると言われていて、それぞれのお祓いにお金が必要です。日本人信者の場合、中心霊一体につき2万円ですから、13体で26万円。高額献金が問題視されたあとに発案されたので、低めに設定されている。とはいえ、中心霊は、1度祓ったとしても、体の中を移動したり、別の場所に新たに現れたりしますから、際限なくお祓いのお金が必要になる」(現役信者)

16万円の模型を販売する

 ある日本人女性信者が夫の浪費癖を相談すると「夫の内臓に5つの中心霊がいる。分立のために清平へ行きなさい」と指示され、家族で今年2月に訪韓。清平では「天心苑」という施設に“霊能力者”がいて、分立の儀式が行われたという。

 この「天心苑」を用いた新たな物品販売も始まった。昨年12月に売りだされた「天心苑」の模型である。価格はサイズによって異なり、大(幅20cm、高さ18cm)は160万ウォン(約16万円)、中は120万ウォンで、子供用の小は30万ウォンだ。清平で「天心共鳴祈祷3日修錬会」という役事に参加すれば、現地で購入できる仕組み。

「こちらも霊感商法最盛期に販売していた壺や多宝塔ほど高額ではないものの、『天心、天運、天福を継承できる』といった謳い文句は何ら変わることはありません」(同前)

韓国で、司直の手が迫る

 日本での解散命令をものともせずに、献金要求、合同結婚式霊感商法とかつてと変わらぬ動きを見せる教団。しかし、お膝元の韓国で、司直の手が迫っている。

 昨年暮れ、系列の鮮文大学で副学長を務めていたユン・ヨンホ氏の自宅や副学長室に、ソウル南部地検の家宅捜索が入った。ユン氏は、世界宣教本部長まで務めた教団の元ナンバー2だ。容疑は政治資金規正法違反。教団から尹錫悦大統領へ渡すはずだった100億ウォン(約10億円)の献金が行方不明になったことが、発覚したためだという。

司法機関への贈賄容疑

「また、韓総裁に直接の容疑がかかっている別の事件もあります。それが、司法機関への贈賄容疑です。17年2月から翌年6月にかけて韓総裁は、顧問弁護士だったパク・ジニョン氏に15億4000万ウォン(約1億5400万円)を手渡した。目的は、教団がソウル市内の汝矣島に建設したツインタワー高層ビル・パークワンを巡る訴訟を有利に進めるための、裁判官や検事らへのロビー資金だったとされます。パク弁護士に現金を渡したことを認める韓総裁のサイン入りの書面が、動かぬ証拠となっています」(韓国のジャーナリスト)

 韓国の法律では、賄賂を約束、供与、又は贈与する意思を表示した者の他、目的を知った上で金を提供した者にも5年以下の懲役、又は2000万ウォン(約200万円)以下の罰金が科される。

「今年3月には京畿北部警察庁が関係者を召喚したようで、捜査は水面下で進んでいるようです」(同前)

 解散命令を受け、日韓それぞれの統一教会に今後の方針を尋ねたが、いずれも期日までに回答はなかった。

 日本人信者に献金や動員を要求し続ける教団。その行動に、反省の色を見ることはできない。

(石井 謙一郎,「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月10日号)

完成した天苑宮(公式HPより)

(出典 news.nicovideo.jp)

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