【国際】中国政府が自国貨物船への調査を拒否か、バルト海の海底ケーブル破壊した疑い―独メディア
【国際】中国政府が自国貨物船への調査を拒否か、バルト海の海底ケーブル破壊した疑い―独メディア
2024年12月23日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレ(中国語版)は、バルト海で通信ケーブルを破壊した疑いをかけられている中国の貨物船について、中国政府がスウェーデン検察による乗船調査を拒否したと報じた。
記事は、バルト海で11月中旬、ドイツとフィンランドを結ぶ海底ケーブル、スウェーデンとリトアニアを結ぶ海底ケーブルがそれぞれ破壊される事案が発生したと紹介。二つの事案が48時間以内に発生したことから、欧州の政界では破壊活動に対する強い疑念が広がったと伝えた。
そして、船舶追跡データによって中国の「伊鵬3号」という貨物船が当時この海域を航行していたことが判明し、スウェーデン当局が指名手配を行い、スウェーデンと中国の外交官が継続的に協議を行ってきたと説明。「伊鵬3号」はデンマークとスウェーデンの間に位置するカテガット海峡の公海上で1カ月以上停泊していたと紹介した。
その上で、スウェーデンの検察がこのほど「伊鵬3号」に乗船して調査を行う許可を中国側に求めたものの、中国側がこれを拒否したとし、スウェーデンのステーネルガード外相がメディアに対し「中国がスウェーデンの検察官や警察が船上で調査を行うことを許可しなかった」と述べたことを伝えている。
一方で中国政府は「伊鵬3号」が破壊活動に関与した疑いを否定しており、「伊鵬3号」の乗船検査についてはドイツ、スウェーデン、フィンランドなどの国がオブザーバーとして参加することを認める意向を示すも、「調査の主導権は中国にある」と明言していたことを紹介。現在、「伊鵬3号」はすでにカテガット海峡を離れており、スウェーデン警察が「伊鵬3号」の動向を引き続き監視していると伝えた。
なお、ロイター通信によると、中国外交部報道官は23日、本件を巡って「ドイツ、スウェーデン、フィンランド、デンマークに共同調査への参加を呼びかけており、資料と情報を提供した」と述べた。「伊鵬3号」が航海を再開したことについて、中国外交部は「乗組員の心身の健康を確保するため」「全ての関係国に事前に通知しており、意思疎通と協力を維持する用意がある」と説明している。
ドイチェ・ヴェレの記事は、バルト海地域の海底インフラを破壊する事案がここ数年発生しており、今回の事件がバルト海の緊張をさらに高める結果になったと指摘。特に22年のロシアによるウクライナ侵攻以降、バルト海地域は地政学的な争点になっており、同年9月にはノルドストリームパイプラインの爆破事件が、昨年10月には中国貨物船の錨によってフィンランドとエストニア間の天然ガスパイプラインが損傷する事故が起きるなど、不安定な情勢が続いていることを紹介した。(編集・翻訳/川尻)