【社会】1つ増やすだけで認知症リスクが33%減少する…タモリさんが体現する高齢者が健康に生きられる”活動の種類”
【社会】1つ増やすだけで認知症リスクが33%減少する…タモリさんが体現する高齢者が健康に生きられる”活動の種類”
※本稿は、内藤誼人『タモリさんに学ぶ「人生のたたみ方」』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。
■芸術系の趣味が高齢者に向いている理由
タモリさんが芸術に造詣が深いことはよく知られています。もともとトランペット奏者を目指していたといいますから、音楽も大好きです。
音楽や絵画に興味を持つことはよいことですよ。
そういう趣味を持っていると、アルツハイマー型認知症にもなりにくくなる、という研究結果もあります。
米国シカゴにあるラッシュ大学のロバート・ウィルソンは、801名の高齢者に、どれくらい認知活動(音楽を聴く、美術館に行くなど)をやっているかと聞くと、平均3.57個という回答が得られました。
それから4、5年間の追跡調査を行なうと、801名のうち111名はアルツハイマー型認知症を発症したのですが、認知活動を1つ増やすと、認知症になるリスクが33%減少するという計算になることがわかりました。
芸術活動をしていると、脳に適度な刺激を与えることができ、それによって認知症になりにくくなるのだと考えられます。
■年齢を言い訳に使うことなく、何でもやってみる
同じ傾向はベルリン自由大学のマーガレット・バルテスも報告しています。70歳から103歳(平均84.9歳)の516名に、どれくらい音楽を聴いたり、ガーデニングをしたりするのかなどを尋ねると、いろいろな活動をする人ほど加齢に伴う認知機能の減少が見られにくいことがわかったのです。
「もう私は高齢者だから、音楽なんてとても……」と感じる人がいるかもしれませんが、何歳になっても音楽の趣味を持つのはよいことです。
最近では、音楽教室にも高齢者向けのピアノレッスンやバイオリンのレッスンなどのコースを用意してあるところもありますので、そういうところに気軽に参加してみればよいのです。
また、地域のコミュニティでは、オカリナを学ぶ教室やら、お囃子の笛の教室なども探せば見つかったりしますので、そういうところに出かけていくのもいいかもしれません。
音楽以外でも、たとえば絵画教室に通ってみるのもいいでしょう。何かの大会やコンクールに出場するわけではないのですから、自由にのびのびとやってください。もちろん、何かの大会に自分の絵を出展したいというのであれば、それを目標にするのもよいでしょう。
とにかく年齢を言い訳に使うことなく、何でもやってみることです。やってみればわかりますが、やったことのないことを学ぶのはとても面白いと感じるものです。
芸術に興味を持つと、のびのびと生きられる
■タモリさんをお手本に、できるだけ和食を食べよう
独身者は、あまり栄養を考えずに高脂肪、高カロリーなものを食べてしまいます。そのため肥満や生活習慣病になりやすくなるわけですが、心身ともに健康でいたいのなら、なるべく健康によい食生活を身につけましょう。
オススメは和食。
なぜかというと、和食には発酵食品が多いからです。和食におなじみの味噌、醤油、納豆、漬物などはみな発酵食品です。
ハーバード・メディカル・スクールのエヴァ・セルハブによりますと、発酵食品に含まれる細菌(乳酸菌やビフィズス菌)は、身体の健康だけでなく、メンタルの健康にもよいそうです。発酵食品をよく食べる人は、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったりしなくなるのです。
タモリさんはどんな食事を摂っているかというと、やはり和食のようです。
タモリさんが年をとっても、いつでも陽気に楽しく仕事をしていられるのは和食党だからということが理由のひとつではないでしょうか。
■うつ状態を大幅に改善する食事の種類
食事に関しては、「地中海式の食事」がいいとされておりますが、地中海式の食事とは、肉ではなく魚をたくさん食べ、野菜や果物をたくさん摂るという食事のことですから、和食に通じるものがあります。
オーストラリアにあるモナシュ大学のエイドリアン・オニールは、176名の「大うつ病」と診断された人たちに、地中海式の食事を摂るようにしてもらいました。そして、3カ月後と半年後に追跡調査をしてみたのですが、地中海式の食事を摂るようにすると、うつ状態が大幅に改善されることがわかりました。
現代人は、うつ病になってしまう人が増えているというお話を聞きますが、そういう人は欧米式の食事をしていることが原因かもしれません。
食習慣を見直し、できるだけ和食にしましょう。高脂肪、高カロリーの食事をやめて、和食にするだけで、わざわざダイエットをしなくとも体重は減っていきます。
肥満にもなりにくくなり、しかも気分も明るくなるのですから、和食のほうが絶対的にオススメだと断言できます。
心身ともに健康でいたいのなら、和食中心の食生活にする
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心理学者
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる!暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。
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