【社会】そのポイ捨て、犯罪です!観光地で横行する迷惑行為の代償…「マナーが悪い」で済まされない落とし穴
【社会】そのポイ捨て、犯罪です!観光地で横行する迷惑行為の代償…「マナーが悪い」で済まされない落とし穴
オーバーツーリズムの影響で、観光地を中心にゴミのポイ捨てが深刻になっています。
特にゴールデンウィーク中やその前後は顕著になり、SNSでもポイ捨てに困っているというような投稿が後を絶ちませんでした。
ポイ捨てそのものに法的な問題はないのでしょうか。冨本和男弁護士に聞きました。
⚫︎廃棄物処理法違反なら最悪逮捕も
──ゴミのポイ捨ては法的に問題ありますか。 実際に適用されるかどうか別として、廃棄物処理法違反や軽犯罪法違反、地方自治体の条例違反(東京都台東区ポイ捨て行為等の防止に関する条例違反など)にあたると考えます。
たとえば、廃棄物処理法16条は「何人も廃棄物を捨ててはならない」と規定していますので、適用されるケースもあると思います。
廃棄物処理法は、廃棄物の排出を抑制し、廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全や公衆衛生の向上を図ることを目的とする法律です。
廃棄物とは、ごみや粗大ごみなどです(同2条1項)。
16条に違反して廃棄物を捨てた場合、5年以下の懲役刑や罰金刑が科される可能性があります(同25条1項14号)。
⚫︎車からのポイ捨ては道交法違反の可能性
──「目の前の車がポイ捨てした」との投稿もありました。車からの場合、別の犯罪にあたる可能性はありますか。
道路交通法違反(76条4項4号・5号)にあたる可能性があります。
道路交通法は「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」、そのほか「道路において進行中の車両等から物件を投げること」を禁止しています。違反した場合、5万円以下の罰金です(120条1項10号)。
⚫︎独自対策している自治体
──4月18日に観光庁が公表した訪日客に困り事などを聞いた2024年度のアンケート調査によると、困ったこと(複数回答可)で最も多かったのは「ゴミ箱の少なさ」(21.9%)であるなど、ゴミ箱が少ないという問題もあるようです。
たしかにゴミ箱が少ないという問題があるかと思います。
埼玉県川越市ではオーバーツーリズム対策で、IoT技術を活用したスマートゴミ箱を設置したり、ポイ捨てする前に「そのゴミ捨てますよ」と声を掛けて、お店がゴミを預かるなどの対策をしているようです。
観光地のゴミを観光地が責任をもって回収しているわけですので、良い対策だと思います。
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp
